日帰り手術
当院では、以下の外科的治療を日帰り手術にて行っています。
LEEP手術とは(中等度異形成、高度異形成)
- LEEPとは、Loop Electrosurgical Excision Procedureを略した手術方法です。婦人科では子宮頚部の手術に主に使用され、子宮頚管ポリープ・頚部筋腫(良性腫瘍)と、子宮頚がん(悪性腫瘍)をLEEP手術によって切り取ることができます。
- 当院ではこのLEEP手術を静脈麻酔下にて日帰りで行っています。
LEEP手術の手術時間は10分程度で、3時間ほどリカバリー室で休んでもらうと帰宅可能となり、手術後の痛みもほとんどないのが特徴です。
子宮頸管ポリープ切除術とは
- 子宮頸管とは、子宮と膣の間をつなぐ場所に位置し、外子宮口から子宮腔までの部分を言います。この部位にある細胞が何らかの原因によって増殖するようになると、粘膜が隆起していくのですが、その際に子宮口からはみ出して、膣側に垂れ下がっていきます。これが子宮頸管ポリープです。ポリープの大きさは米粒大から親指大ほどの大きさで、痛みなどの症状はありませんが不正出血がみられるようになります。発症原因については、現時点では特定されていません。上記の症状などから子宮頸管ポリープが疑われる場合は、膣鏡などを用いてポリープの有無を確認していきます。
- 治療の基本は簡単な手術による切除で、よほど大きいものでなければ麻酔をする必要はありません。切除したポリープは病理検査をし、良性か悪性化を調べますが、その大半は良性です。ただポリープは再発することも少なくないので、定期的に検査を受けるようにしてください。
バルトリン腺嚢胞手術とは
- バルトリン腺とは、膣の入り口で左右一対となっている線(器官)のことで、ここでバルトリン腺液(粘液)を分泌しています。同器官が細菌(淋菌、黄色ブドウ球菌、大腸菌 等)などに感染して詰まりなどを起こすと炎症が起きるほか、膿が溜まることもあります。膿が発生している状態をバルトリン腺膿瘍と言います。主な症状は、外陰部の痛みや腫れといったもので、歩く、座るといった動きをしただけで痛みが伴うこともあります。
- 膿瘍がある場合は、外科的治療による手術となります。具体的には、局所麻酔下で膿瘍を切開して膿を排出する切開術となります。また膿瘍が大きい、繰り返し炎症を起こしてしまうという場合は、バルトリン腺に対して開窓術を行います。それでも再発が繰り返された場合バルトリン腺を摘出する手術を行います。
人工妊娠中絶とは
- 人工妊娠中絶とは、いわゆる堕胎のことです。これは母体保護法によって定められているのですが、妊娠22週を過ぎた場合は適応外となります。つまり中絶が行える期間は、21週6日までとなります。なお中絶手術を実施できる医師は、母体保護法指定医師のみとされています。
- 当院では中絶可能な期間であったとしても、妊娠11週以上経過している方、母体合併症がある方、妊娠週、既往歴などによって手術を行わないことがあります。ちなみに人工妊娠中絶手術の大半は健康保険が適応されませんので、診察 検査などが全額自己負担となります。
手術を行う前の注意点
手術をするにあたっては、妊娠が正常か異常か、母体保護法で定められている妊娠週であるかの検査、手術を受ける際の注意点の説明などを行う必要があるので事前にご来院いただく必要があります。上記の案件を確認し、手術が可能と医師が判断すれば日時の予約をしていきます。また手術時に本人および配偶者の「文書による同意」が必要です。
手術について
- 人工妊娠中絶手術は妊娠22週未満までとされていますが、妊娠初期(12週未満)と12週以降の場合では手術内容が異なります。ちなみに12週以降は体に負担をかけやすいことから数日の入院を要するケースが大半です。ここでは妊娠12週未満の手術内容についての説明をします。
- 妊娠12週未満では、不全流産、胞状奇胎でも用いられる子宮内容除去術になります。なお同術には掻爬法と吸引法があるわけですが、この場合は掻爬法になります。手術は静脈麻酔下(全身麻酔)で行います。手順としては子宮頸管を拡張させ、塚原鉗子と拡張器でさらに広げ、その中に胎盤鉗子やキューレットを挿入し、子宮腔内を掻爬するなどして内容物を除去するといった流れになります。手術時間は10~15分程度で、施術による痛みや出血がみられることは少ないです。手術後は個室にてお休みいただき、出血が止まった、麻酔から完全に醒めたという状態が確認できれば、ご帰宅いただけます。
流産手術とは
- 流産とは、妊娠22週までに妊娠が終わってしまう状態(胎児が亡くなる)のことです。なお12週未満の流産を早期流産、12週以降の流産を後期流産と言い、また自然妊娠によって妊娠が中断した場合を自然流産、人為的に妊娠を中断した場合を人工流産(人工妊娠中絶)と言います。
- 流産の原因(自然流産)としては、胎児の染色体や遺伝子の異常(早期流産の場合)のほか、不摂生な生活習慣や過剰なストレスといったことが挙げられます。よく見受けられる症状としては、不正性器出血や下腹部痛(切迫流産、進行流産)といったもので、無症状(稽留流産)ということもあります。
手術について
流産手術は、流産後も子宮に残っているとされる内容物を除去するために行うもので、進行流産(流産が進行している状態で、出血や陣痛のような下腹部痛がある)、稽留流産(胎児が死亡し、子宮内にそのまま留まった状態も母体に自覚症状がない)、不全流産(子宮内容物の一部が残っている状態)の際に行われます。